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経営改善とは|考えるタイミングや具体的な方法を解説

経営改善とは?考えるタイミングや具体的な方法を解説 業務改善

経営で問題点を抱えている、思ったように売上が伸びないなど、さまざまな課題や問題を抱えている企業も多いでしょう。その際に検討するのが、経営改善です。経営について見直しを行い、改善していくことで課題や問題点の解決を図ります。しかし、どのように経営改善すればよいのかわからない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、経営改善について知りたい人に向けて、経営改善の概要や経営改善のやり方について解説します。経営改善を考えるタイミングや具体的な方法、経営改善を成功させるポイントなども解説するので、ぜひ参考にしてください。

そもそも経営改善とは

経営改善とはその名のとおり、経営状態を改善させるための取り組みです。会社を存続させるためには経営状況が重要になります。経営改善では、悪化した、もしくは思ったように伸びない経営状況を改善するために、さまざまな施策を行っていくことが重要です。

 

例えば、売上を上げるための施策を打つ、利益を上げるためにコスト削減などを意識するといったことも経営改善に含まれます。経営改善では、会社が抱えている問題点を洗い出し、その1つ1つを解決すること、戦略的に利益の最大化を目指していくことなどが求められます。

 

経営改善を考えるタイミングとは

考えるタイミング経営改善を考えるタイミングとしてよく挙げられるのが、以下の3つです。

 

  • 業績が急速に悪化し始めた
  • 赤字が2~3年間続いている
  • 赤字が続き、リスケや融資をお願いしなければいけなくなった

 

以上のようなタイミングで、経営改善を考える場合が多いようです。しかし、経営改善を考えるタイミングに明確な目安はありません。経営者が「このままではいけない」と危機感を感じはじめたときが、経営改善のタイミングとも言えます。

 

経営改善の実践度をチェックシートで確認してみよう

チェックシートとは、経営改善の能力を確認するためのシートです。以下で紹介する項目の内1つでも当てはまる場合、経営改善の実践度や能力が欠けている可能性があるので注意しましょう。

 

  • 決算書が読めない、読んでもよくわからない
  • どこを改善するべきかわからない
  • 改善点はあるが何から始めればいいかわからない
  • 経営セミナーや経営書などを読んでもうまくいかない
  • 会社の課題や問題点が把握できていない
  • 売上が上がっても利益が向上しない
  • 一生懸命働いても結果が見えず、経営者・従業員ともに疲弊している
  • 経営に関して漠然とした不安がある
  • 経営改善の効果を実感できない
  • 社員のモチベーションが上がらず雰囲気が悪化している

経営改善を進める手順を解説

経営改善を進めるためには、PDCAサイクルを意識しましょう。PDCAサイクルとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」のことで、このサイクルを繰り返し行っていくことです。計画を立てて実行し、評価を行った後は改善点があれば改善、また計画~改善を繰り返します。

 

経営改善は、一度の施策だけではうまくいかないことが多いため、PDCAを回して適宜改善しながら取り組むことが重要です。経営改善を進める場合の手順は以下のとおりです。

 

  1. 将来的な目標や理想像を明確にして目的を決める
  2. 自社が抱えている課題を洗い出し、明確にする
  3. 課題を解決するためにどのような施策が必要か考える
  4. 立案した施策を実行し、評価する
  5. 改善点があれば改善し、PDCAサイクルを回す

 

経営改善を実現するポイントは2つ

経営改善を実現するポイントは2つです。売上を増やすか、費用を減らすかのどちらかです。費用とはコストのことで、変動費と固定費に分けられます。これらの費用をうまく削減していく、もしくは売上を増やしていくことを意識しましょう。

売上を増やす方法とは

分析する経営改善を実現するには売上を増やすことが重要です。ここでは売上を増やす方法について解説します。

 

顧客のニーズを理解する

顧客のニーズをしっかりと理解してニーズを満たす商品・サービスを提供することで、自社商品が選ばれやすくなり、売上アップにつながります。顧客のニーズは変化し続けているため、常に把握・理解することを意識しましょう。

 

例えば、商品やサービス購入者にアンケートを取る、口コミを参考にするといった方法が挙げられます。アンケートや口コミでは、良い評価も悪い評価も寄せられるため、真摯に受け止めましょう。

 

営業マンを強化する

売上をアップさせるには、適切な営業活動をすることが重要です。そのため、営業マンの強化は欠かせません。営業日報を参考にして営業マンの行動をチェックしましょう。

 

訪問先や見込み度に顧客への提案内容や顧客から入手した情報、クレームなどを記入してもらい、十分な営業活動量を確保できているか、方針に沿った営業活動が行えているかを確認します。

 

営業活動の量だけでなく質にも注目しましょう。それぞれの営業マンが持っているスキル、経験などを棚卸して、不足している部分の育成計画を立て実行します。

 

顧客満足度を上げる施策を打ち出す

顧客満足度とは商品やサービスを購入し、実際に使用したことで得られる満足感のことです。顧客満足度を上げるとリピーターになってもらえる可能性が高まるため、売上のアップにつながります。

 

顧客満足度を上げるには、営業マンの提案力を高めるとよいでしょう。顧客との関係性を深めて顧客が抱える問題点を把握、解決に導くための最適な提案をすることで、満足度が向上しやすくなります。

 

自社の強み・弱みを把握する

売上を向上させるには、自社の強み・弱みを把握することが重要です。自社の強み・弱みを把握するには、SWOT分析を用いるとよいでしょう。

 

SWOT分析とは、以下4つの側面から自社の置かれている状況、市場での立ち位置などを分析する手法です。

 

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

 

売上を高める施策を立案する場合は強みと機会に注目しましょう。強みや機会をさらに強化して他社との差別化を図り、顧客から選ばれやすい環境を作ります。

費用を減らす方法とは|変動費編

利益を向上させるには、コストカットも重要です。ここでは、変動費を減らす方法について解説します。

 

材料費の見直し

材料費を見直すことでコストカットにつながります。材料費を見直す方法として、材料費を下げる、材料の無駄をなくすことなどが挙げられます。

 

例えば、仕入れルートを見直したりより安い材料や規格に切り替えたりすれば、直接的な材料費は下がります。また、国際相場をチェックして適切な価格で仕入れることも重要です。

 

材料の無駄をなくすためには材料の取り方を工夫したり、加工・原材料ロスができるだけ少なくなるように工夫したりします。

 

備品価額の引き下げ

備品価額を引き下げればその分コストカットにつながります。購入する備品の価額を引き下げるには、値下げ交渉を行わなければいけません。値下げ交渉を有利に進められる背景を作っておくこと、調達情報を幅広く収集することなどを意識しましょう。

 

例えば、集中発注方式を採用しお互いに崩れると困る需要・供給関係を作っておく、内製化して自社でも代替品を生産できる体制を作るなどすると、有利に値下げ交渉が進められます。

 

外注の利用

外注を利用するのも1つの方法です。外注とは、外部の業者に業務を委託することをさします。社内加工するよりも外注のほうがコストカットできる可能性もあるため、検討してみるとよいでしょう。

 

例えば、繁忙期と閑散期の差がある場合は、繁忙期に人員や設備を増強してしまうと閑散期に無駄になってしまいます。そのため、忙しい時期は外注したり外注率を引き上げたりして、閑散期は外注率を低くすればコストカットにつながりやすいです。

 

商品仕入れの見直し

商品仕入れの見直しをすることで、適正な仕入れが行えるようになりコストカットにつながります。商品仕入れでは、仕入れ予算を立てましょう。

 

仕入れ予算は「売上原価予算±在庫増減」で求められます。仕入れ予算を基にして仕入れ先の見直しや発注量の見直し、在庫の増減などを行います。

 

仕入れルールが明確になっていないと余計な在庫を持ってしまったり、仕入れ単価を下げようと余計な商品まで仕入れてしまったりするケースがあるため注意しましょう。

 

返品の防止・値引きの抑制

返品や値引きは、利益の減少に直結します。値引きでは利益が直接的に減少し、返品は物流コスト・在庫コストの増加や、正規価格での販売ができなくなる可能性などがあるためです

 

まずは、なぜ返品されるのかを明確にしましょう。返品時にアンケートなどを取り、商品の問題点や課題を把握して改善します。

 

また、不必要なキャンペーンなどを控えることも重要です。値引きが当たり前になると値引きされていない時に購入されにくくなります。そのため、理由のない値引きやキャンペーンを行わないようにします。

 

費用を減らす方法とは|固定費編

費用の中には、毎月かかる固定費もあります。この固定費を削ることも売上向上の重要なポイントです。

 

人件費の見直し

人件費は固定費における割合が大きいため、見直すことで費用削減につながります。社員一人あたりの人件費は適正か、社員数が業務に対して多すぎないかなどをチェックしましょう。

 

人件費の見直しで行っておきたいのが「役員報酬カット」です。経営者や役員の報酬をカットすることで経営改善の意志を社員に周知できます。これによって、残業代削減や賞与の削減などといった見直しを理解してもらいやすくなります。

 

広告費の見直し

広告は自社をアピールするうえで重要ですが、コストパフォーマンスを意識しなければいけません。どのような広告を行っているか、自社にとって必要かどうかを改めて見直してみましょう。そのうえで、どのような商品を誰にどのように販売するかを考慮して広告を打つことが重要です。

 

広告費を削減するには、無料のパブリシティへの記事掲載や、自社Webサイトのコンテンツを充実させてSEO対策をするといった施策が挙げられます。

 

家賃(テナント料)の削減

家賃は固定費の中では人件費の次に大きなものだといわれています。そのため、家賃を削減することで効率的にコストカットできるでしょう。

 

家賃を削減したい場合は、営業所の統廃合を行って複数ある拠点を減らしていく、家賃の安いビルに本社を移転するといった方法が考えられます。

 

また、出社せずに業務にあたるテレワークを導入している場合は、オフィススペースが適切かどうか再検討しましょう。面積が小さければその分、家賃は減少します。

 

接待交際費の削減

接待・交際費はビジネス上必要な経費ではありますが、無駄に使われているケースも少なくありません。コストパフォーマンスを考えて、接待・交際費の削減を進めていきましょう。

 

まずは、交際費管理表を作成して費用の見える化を図ります。管理表をもとにして前期の売上貢献実績の低い取引先の交際費を削減します。また、予算として接待交際費を各部門に割り当てると、予算いっぱいまで使い切ろうとするケースも多いため注意しましょう。

解決のために、中小企業庁の制度を利用する方法もある

ひらめき

経営改善を行っていくためには、中小企業庁が運営している制度を利用するのも1つの方法です。

 

経営改善計画策定支援事業

中小企業・小規模事業者向けの支援事業で、金融機関からの返済条件などの変更、融資行為を受けるための経営改善計画策定を支援するものです。財務上の理由から経営改善計画の策定が難しい企業のサポートが目的で、国が認定している専門家(税理士など)に経営改善計画の策定サポートを依頼できます。

 

依頼する際の費用の一部(支払い費用の2/3)を国が補助し、補助上限は200万円までです。

 

経営改善計画策定支援事業の利用に向いている人は,

以下のとおりです。

 

  • 売上や利益確保が可能な経営管理をしたい
  • 人件費以外でコストカットを実現したい
  • 経営悪化の原因を把握したい
  • 経営改善計画を継続的にフォローしてもらいたい
  • 経営計画を策定したい

 

早期経営改善計画策定支援事業

資金実績・計画表などの経営改善計画を策定する際のサポートを目的としている事業です。

 

中小企業や小規模事業者の中には、資金繰りや事業における課題点など、基本的な部分を理解できていない企業もあります。経営面の問題を専門家と見つけ出し、改善案を検討します。

 

国が認定する税理士などの専門家の支援を受けて経営改善計画を策定する場合、依頼する際の費用の一部(支払い費用の2/3)を国が補助するもので、上限は20万円までです。

 

早期経営改善計画策定支援事業の利用がおすすめな人は、以下のとおりです。

 

  • 初めて依頼する専門家なのでお試しで計画を作ってみたい
  • コロナの影響で資金繰りが不安定
  • 自社の状況を客観的に把握し、今後の取り組みに活かしたい
  • コロナの影響で売上が減少し、将来に不安がある

まとめ

経営改善とは、悪化した、もしくは思ったように伸びない経営状況を改善するための試みです。経営改善を考える明確なタイミングはありません。経営者が何らかの不安を感じている、問題点があるなどの危機感を感じはじめたら、経営改善を検討してみるとよいでしょう。

 

経営改善を実現するポイントとしては、「売上を上げる」「費用を削減する」という2つが挙げられます。この記事で紹介した売上向上のポイントや費用削減のポイントを参考にしながら、自社にあった施策に取り組んでいきましょう。

 

中小企業庁が運営している支援事業もあるため、利用を検討するのもよい方法です。