LTVとは、Life Time Value(顧客生涯価値)のことで、クライアント(顧客)がその生涯を通じて企業にへともたらす利益のことを意味しており、一般的には、クライアント(顧客)の商品やサービスに対する顧客ロイヤリティ(愛着)が高い企業ほどLTVが高くなっていると考えられるのです。
本稿においては、顧客生涯価値(LTV)の概要、LTVが重視される理由、顧客生涯価値(LTV)の算出方法、顧客生涯価値(LTV)を最大化させるためには、顧客生涯価値(LTV)を向上させるメリット、顧客生涯価値(LTV)の改善ツール、などについて詳しく説明します。
1.顧客生涯価値(LTV)の概要と目的
顧客生涯価値(LTV)とは、前述したように、クライアント(顧客)がその生涯を通じて企業にへともたらす利益のこと、ですが換言すると、お客様がその商品やサービスを使用し続ける上で商品やサービスに対して投下する金額の総額、であるとも言えます。
つまり、そのお客様が他の商品やサービスに移ってしまうなどによって、その商品やサービスを使わなくなってしまうまでに費やされる総金額のことです。一般的には、どのような市場であっても、激しい競争が勃発するほど新たなお客様の獲得に要する費用も増えていきます。
したがって、ニュー・カスタマー(新規顧客)の獲得のみならず既存の顧客シェアをキープ(維持)・拡大することは極めて重要な施策になるものと考えられます。LTVはこうした顧客のシェアを管理することを目的とする指標のひとつとして利用されているのです。
具体的には、調味料、日用品、サプリメント、などのように継続的に購入している商品はどなたにでもあると思われます。また、現在では必要不可欠なものとなっているスマホの電話回線やインターネットの回線などもLTVが重要視されることになるサービスだと言えるでしょう。
2.顧客生涯価値(LTV)が重視される理由
LTVがなぜ重視されているのか、その理由について説明します。
<LTVが重視される理由>
- 新たにお客様を獲得よりも費用がかからない
- マーケット(市場)が飽和状態にある
- 広告宣伝費など、新たな顧客獲得にかけられる予算を見極めることが可能
新たなお客様を獲得するのに必用な費用は、既存のお客様を維持するための費用の約5倍はかかる、という「1:5の法則」というものがあります。より多くの利益を獲得したい場合には、顧客の新規開拓にどうしても目が剥きがちになりますが、実際は、既存のお客様に維持・継続して利用してもらうケースの方がより少ない費用で利益を獲得することができるのです。
マーケット(市場)が飽和状態の場合だと新たなお客様獲得は難しくなるものと考えられます。具体的に、スマホの電話回線サービスを提供している通信事業者を例として検討してみましょう。今やほぼ全ての人が一人一台スマホを保有している状況においては、新たなお客様となり得る「まだスマホを保有しておらず、新たにスマホの購入を検討している人」は圧倒的に少人数だと思われます。
こうした状況下で新規にお客様を獲得するためには、他社の電話回線から自社の電話回線に乗り換えてもらうしか方法はありません。このような状況を考えると、他社のお客様を苦労して奪うよりも今現在利用してくれている既存のお客様を大切にして、可能な限り長期間利用してもらうことがより一層重要になると考えられるのです。
新規の顧客獲得は未来永劫無限に可能なものではないでしょう。わが国の人口が減少に転じているという現状に鑑みれば、お客様を繋ぎ止めることが最重要視されることは当然だと言えるでしょう。
1万円の商品を販売するために2万円の広告費をかけてしまえば赤字になることは必至です。しかし、当該商品が数年間にわたって継続して購入される商品の場合にはその限りではないと言うことが可能です。
もしも1カ月に1回、3年にわたって購入されれば、LTVは36万円になります(LTVの計算式は後述)。ここで2万円という広告費はここで算出されたLTVの約5.5%にしかならず、商品の販売単価より高くても許容範囲内だと考えられるでしょう。定期購入(含む、サブスクでの購入契約)を推奨している食品や化粧品などが高い頻度で様々な広告を打ち出して、初回のみ大幅な割引価格で購入することが可能な制度を導入しているのは、このようにLTVを把握して事業運営に活用しているからだと考えられるのです。
3.顧客生涯価値(LTV)の算出方法
顧客生涯価値(LTV)の算出方法に関して、基本となる算出式は以下の通りです。
上記の計算式に、ブランドの指名率、顧客ロイヤリティの高さ、などを考慮して算出するようなケースも考えられます。
例えば、1つ2万円の健康食品を販売しているインターネット・ショップがあるとして、この商品は毎月定期購入するという契約となっており、年間20%のお客様が離脱しているとします。このようなケースでは、上記の算出式の各項目は以下のように考えられます
平均購買単価:20,000円
購買頻度:12回
継続購買期間:1/0.20=5年
20,000×12回×5年=1,200,000円(LTV)
上述したように、このネットショップの顧客のLTVは1,200,000円になります。つまり、お客様を1名獲得すれば、その後は年間1,200,000円の売上を期待することができる、ということになります。しかし、これは売上だけを考えたものなので、費用に関しては全く考慮していません。
費用を考慮する場合には、新規獲得費用や顧客維持費用に関しても算出式に加える必要があるでしょう。このような場合には、以下の算出式となります。
例えば、リスティング広告などのコストがお客様1人あたり20,000円、定期メールなどの維持に関するコストが30,000円だった場合には、これらのコストを考慮したお客様1人あたりの顧客生涯価値(LTV)は1,150,000円になります。
また、上記の他にも以下のような計算式でLTVを算出することもあります。
4.顧客生涯価値(LTV)を最大化させるためには
前述したLTVの算出式には、平均購買単価、収益率、購買頻度、継続期間、新規顧客獲得コスト、既存顧客維持コストという6種類の要素(ファクター)が含まれているので、それぞれの要素を向上させる(コストは削減)ことによって、LTVを向上させることができます。
<顧客生涯価値(LTV)を最大化する方法>
- 商品の値段を上げる
- 複数の商品のバリエーションを用意する
- セット販売する
- 原価を抑える
- リマインドメールを送信する
- メールマガジンを送信する
平均顧客単価を上げるためのシンプルな方法としては商品の値上げが考えられます。しかし、値上げをする場合には、値上げの理由をわかりやすくはっきりとお客様に対して説明をして、納得してもらえることが大前提となります。
値上げによって顧客離れが発生してしまうのではないか、と抵抗を感じてしまうる経営者や販売責任者は多いかもしれません。当然ながら、値上げによって一部のお客様は競合他社の製品・サービスへと流れてしまう可能性は否めませんが、引き続き自社の製品・サービスを選んでくれるような優良顧客も確実に存在します。
商品の値段を上げることを検討する場合には、どうして自社商品が選ばれているのか、を考えてみることが重要になります。購入の理由が商品価格以外のファクター(要素)にあるようなケースでは、大幅な値上げじゃなければ顧客離れの影響はそれほど大きくはないものと思料されます。
平均顧客単価をアップするためには、価格が異なっている複数の商品・サービスのバリエーションを用意する方法も考えられます。お客様の選択肢が増えて商品やサービスを選びやすくなるので、より価格が高い商品やサービスを選んでもらえるような可能性も高まるものと考えられます。
具体的には、松(高級品)、竹(中級品)、梅(普及品)のように3種類のラインナップを準備すると、一般的には、中級品が購入されやすいという傾向があります。この傾向のことを「松竹梅の法則」と言います。つまり、お客様に購入して欲しい中級品に、高級品と普及品とを加えることによって、商品の価格は安い方が良いものの、クオリティはけして落としたくない、というような顧客心理が働いて、結果的に中級品をチョイスするという仕組みだと考えられます。
単品の販売ではなくセットで販売することで平均顧客単価をアップさせる方法も有効だと考えられます。複数の商品・サービスを取り扱っているようなケースでは、同じタイミングで購入されることが多い商品やサービスの組み合わせを見つけ出して、お客様に提案してみることをおすすめします。
セットでの販売は自社にとって利点があるのみならず、お客様も商品・サービスを購入する手間を減らすことが可能です。ただし、人気が高い商品の購入者に対して不人気な商品を不当かつ同時に購入させるような、いわゆる「抱き合わせ販売」は独占禁止法に違反することになるので注意が必用です。
販売価格を高めに設定していたとしても、同じく原価も高ければ大きな収益を得ることはできません。収益を確保するためには原価を可能な限り抑制して、収益率をアップさせることが重要になります。具体的には、モノづくり企業で部品購入して製品を製造する場合には複数のメーカーに対して打診するような方法を採用しています。この方法は、メーカー同士の競争原理・競争意識を利用することにより、なるべく低い原価で部品調達をしようとするものです。製造業においては、同じ種類の部品を2社から購入することでお互いを競争させる、2社購買という形態もよくあり得ます。
購買の頻度をアップさせるために、買い替えの時期などに合わせて既存のお客様にリマインドメールを配信する方法も極めて有効だと考えられます。その商品が必要となるタイミングでメールを配信することで、自社の商品を有力な購入商品の候補に選んでもらうことが可能になります。
当然ながら、今回商品を買ってもらったからといって、この次もまた買ってもらえるとは限りません。したがって、買い替えを検討するようなお客様には、他社の商品としっかり比べてもらうために、自社の商品における強みやメリットなどをわかりやすくはっきりとメールに記載するようにしましょう。
契約の継続期間が延長されれば延長されるほど、その分LTVが向上することになります。たった一度商品を売ったことで満足するのではなく、購入してくれたお客様を自社にとっての優良顧客へと育成することを検討してみましょう。お客様の気持ちをしっかりと繋ぎ留めておくための有効な手法として、メールマガジンの配信を挙げることができます。
メルマガを配信する場合に気を付けなければならないいポイントとは、メルマガの内容が自社の商品の売り込みばかりに偏ってしまわないように気を付けることでしょう。具体的には、商品の利用方法、業界の動向、などのお客様の役に立つような情報もしっかりと盛り込むことでお客様に興味を持って読んでもらえるような内容にするように留意してください。
5.顧客生涯価値(LTV)を向上させるメリット
ここまで「顧客生涯価値(LTV)とはどのようなものか」「顧客生涯価値(LTV)が重視される理由」「顧客生涯価値(LTV)の算出式は」「顧客生涯価値(LTV)を最大化させる方法は」について解説してきましたが、実際にECサイトを運営している企業の中には、LTVを向上させるメリットってあるのですか?、具体的にどのようなメリットがあるのですか?、と疑問に思っている人もいるかもしれません。ここからは顧客生涯価値(LTV)を向上させるメリットに関して説明します。
<顧客生涯価値(LTV)向上のメリット>
- 営業に要する費用を安価に抑えることが可能
- 安定した利益を獲得できる
- 優良顧客の傾向を把握できる
- 健全な経営へと繋げることが可能
- 顧客生涯価値(LTV)の高い新たな顧客を獲得することができる
- 既存の顧客の育成ができているかどうかを把握することが可能
顧客生涯価値(LTV)を向上させる最初ののメリットは、営業に必要となる費用を低額に抑止することになります。新たなお客様を獲得するためのコストは既存のお客様を維持するためにかかるコストの約5倍と言われているるほど高額なので、新たなお客様を獲得するということは簡単なことではないのですな。
したがって、既存のお客様の継続購入期間を延長することによって、売上を維持しつつ営業費用を抑制することが可能になります。さらに、お客様の平均購入単価や購入頻度を向上させることで、営業費用を抑制しつつ売上を伸ばすこともできるのです。
顧客生涯価値(LTV)を向上させる第2のメリットとしては安定した利益を獲得することが可能になる、という点を挙げることができます。既存のお客様の継続購入期間を延長させることで安定した売上へと繋げることが可能になります。加えて、前述した通りに、顧客生涯価値(LTV)を向上させることによって営業費用を抑制することが可能になるため、安定した利益を獲得することもできるようになります。
第3のメリットは、顧客生涯価値(LTV)の向上を目指すことによって、優良なお客様の傾向を分析することができるようになる点を挙げることができます。有名な「パレートの法則(80:20の法則)」によると、お客様全体の上位20%のお客様による売上が、売上全体の80%を占めるとされています。したがって、優良なお客様の傾向を把握して、その傾向を持っているような新たなお客様の獲得を進めていくことで、さらに売上を伸ばしていくことへと繋がるものと考えられます。
4つ目のメリットとしては、顧客生涯価値(LTV)を向上させることによって健全経営へと繋がることを挙げることができます。新たなお客様を獲得するための費用は既存のお客様の維持に必要な費用の約5倍以上は必要になってしまう言われているほど高額なため、顧客生涯価値(LTV)が顧客獲得単価を下回ってしまうような状態になると、新たなお客様を獲得すればするほど赤字になってしまうことになります。
つまり、顧客生涯価値(LTV)が顧客獲得単価を下回らないことが最低限必要となるので、顧客生涯価値(LTV)を向上させることは、健全経営へと繋がることになるのです。加えて、*ユニットエコノミクスという考え方では、顧客生涯価値(LTV)が顧客獲得単価の3倍以上になることがよいと言われています。
*ユニットエコノミクス
ユニットエコノミクス(Unit Economics)とは、ビジネスにおける最小単位1単位あたりの収益性のこと、またはその収益性を表す指標のことを言います。ビジネスによってユニット単位は異なっていますが、SaaSやサブスクリプションサービスなどで取り扱われるケースが多く、一般的には、1顧客単位(1人、1アカウント、1企業、など)で把握するものです。
例えば、1顧客あたりの収益性は、顧客生涯価値(LTV)が顧客獲得単価(CAC)を上回っているかどうかで比較することになります。事業を成長させて黒字化させるためには、顧客生涯価値(LTV)が顧客獲得単価(CAC)を上回っていることが必要になります。
一般的には、健全なユニットエコノミクスは、「顧客生涯価値(LTV) / 顧客獲得単価(CAC)」が3以上、言い換えれば顧客生涯価値(LTV)が顧客獲得単価(CAC)の3倍以上、かつ顧客獲得単価(CAC)の回収期間(CAC Payback Period)が12か月間以内の状態である、と言われています。
顧客生涯価値(LTV)を向上させるメリットの5つ目としては、顧客生涯価値(LTV)が高い新たなお客様(リピートして購入してくれるの可能性が高いお客様)を獲得することができる、という点を挙げることができます。
多くの会社の中には、
・多額の費用をかけて広告を出稿して新たなお客様を獲得はしたものの思っていたほど売上が伸びない
・新たなお客様1件を獲得するために要した費用(CPA)を抑制しても売上が伸びない
といった悩みを感じているようなケースも少なくはないようです。
こうした集客はできても売上が伸びないというケースでは、顧客生涯価値(LTV)が低いお客様(リピート購入はあまり考えていないようなお客様)を獲得してしまっている可能性が高いことが想定されます。したがって、顧客生涯価値(LTV)を向上させることによりリピートして購入してくれるような新たなお客様を獲得することができる、ということが分かるでしょう。
顧客生涯価値(LTV)を向上させるメリットの6つめは、既存のお客様の育成ができているのかどうか、ということを把握することができるという点になります。顧客生涯価値(LTV)を向上させるプロセスにおいて、既存のお客様に向けて打ち出した様々な施策が成功しているのか、それとも失敗しているのか、を精査することが可能になります。
もし顧客生涯価値(LTV)が思っているほど向上しないようなケースでは、例えば、
・定期的にクーポンの配布を実施する
・メールマガジンを配信してお客様にとって有益な情報を発信する
・SNSを利用してより多くの利用者に対して自社の商品・サービスをアピールする
といった様々な施策を講じることが必要になるでしょう。
また、前述したように、マーケティング用語の言葉の中には有名な「1:5の法則」という言葉があるように、新たなお客様の獲得に要する費用は既存のお客様を維持するための費用の約5倍の費用がかかるとも言われています。
今後事業展開を進めておく中において、新たなお客様の獲得よりも既存のお客様の維持・繋ぎとめに注力することが重要になっていくものと考えられます。したがって、既存のお客様に向けて顧客生涯価値(LTV)を最大化するような施策を実施することが利益最大化への近道になると言うことができるのです。
6.顧客生涯価値(LTV)の向上に役立つツール
顧客生涯価値(LTV)を向上させる(最大化させる)方法やメリットについて解説してきましたが、購入頻度、収益率、などの改善はそう簡単には実現できるものではありません。そこでツールの活用が役に立つものと考えられます。本稿では、顧客生涯価値(LTV)の向上に役立つ具体的なツールを以下に紹介します。
CRMとは「カスタマーリレーションシップマネージメント(Customer Relationship Management)」の英語の頭文字を繋げた言葉です。元々は、お客様の、属性、これまでの購買履歴データ、などのあらゆる様々な情報を収集・分析する経営手法のことを指している言葉なのですが、現在においてはお客様に関する情報を管理するシステムのことをCRMと呼ぶことが一般的になっています。
CRMでは、お客様の情報を一元的に管理して効率的に分析することが可能になります。LTVアップには顧客情報の分析が欠かせないため、CRMは、顧客生涯価値(LTV)のアップととても相性が良いツールと言うことができます。
CRMを利用してお客様の行動や傾向を分析することを通して、お客様に対する最適なアプローチを見出すことによって、顧客満足度の向上、顧客囲い込みの成功、へと繋げていきます。具体的には、過去の販売データをCRMによって分析して、お客様の好みや購入の傾向を割り出すことによって、より一層お客様を満足させられるような新たな商品や新たなサービスの開発・提案に役立つことになるのです。
また、CRMを利用して顧客ごとの状況を見える化(可視化)することができるのであれば、最適なタイミングでアフターフォローやサポートを実施することが可能です。煩雑なデータであってもCRMを利用すれば効率よく管理・分析することが可能なので、ECサイトやWebサービスなどの事業を運営している経営者にとっては、顧客維持に必要な費用を抑制することが可能になるというメリットも享受できるでしょう。
MA(マーケティングオートメーション、Marketing Automation)とは、マーケティングに関する施策の自動化や効果の測定のためのシステムのことを指しています。MAがあることによって、お客様の情報に基づいて、それぞれのお客様に相応しいマーケティングの施策を自動的かつ効率的に実施することが可能になります。
MAは、お客様との関係構築に依拠して収益をアップさせることを目的としているという点において、顧客生涯価値(LTV)の向上と極めて親和性が高いツールであると言えます。MAの利用によって、効果が高いマーケティング施策を実施することが可能になり、購入頻度や購入回数を高めるような効果を期待することも可能です。
また、お客様に関する情報の分析やアプローチを自動化することによって、人的な負担を軽減してコストを削減することにも貢献することができるでしょう。具体的には、多くのお客様の興味や状況が分散しているような状況下において、お客様のひとりひとりにとって最適なタイミングでコンタクトを試みるようなことは、人手を使ってで実施することは時間と費用がかかり過ぎてしまいます。
しかし、MAを利用する場合には、お客様の行動に基づいたメッセージを即時に送付するなど、迅速なコミュニケーションを自動化することも可能となります。お客様の行動を契機としてプッシュ型の訴求をすることが可能なので、購入頻度の向上や顧客との関係強化を期待することもできるのです。また、これまでのマーケティング施策を管理・分析することによって、高い効果が見込める施策も絞り込めることが可能になるので、顧客生涯価値(LTV)のアップへと繋げることができます。
チャットボットとは、会話をロボットが代替するコミュニケーションツールのことを指していて、「Chat(対話)」する「Bot(ロボット)」という2つの言葉を組み合わせた造語のことです。人工知能(AI)に会話を学習させたり、会話のシナリオを事前に登録したりすることによって会話をすることが可能になります。iPhoneに搭載されているSiriやGoogleアシスタントなどの存在によって近年では、非常に身近な存在になっているものと思われます。
顧客生涯価値(LTV)のアップにおける重要なファクターのひとつが、お客様とのコミュニケーションになります。チャットボットは、こうしたコミュニケーションを担うツールとして、顧客生涯価値(LTV)の向上に貢献することができます。具体的には、お客様からの問い合わせに対して、チャットボットを利用することで、より迅速にかつ的確に対応することが可能になれば、顧客満足度のアップへと繋げることができます。
また、商品やサービスに関してちょっとした質問をしたい場合に、人間よりも気軽で、かつ即時にコミュニケーションをすることが可能なチャットボットは、お客様にはとても便利でしょう。これまで気が付かなかった顧客ニーズを引き出せるような可能性も考えられます。お客様の欲しい情報へと円滑に辿り着けるようにすることによって、お客様の購入率や購入頻度向上へと繋がる効果も期待することができます。
まとめ
本稿においては、顧客生涯価値(LTV)に関して、概要、算出式、最大化の方法、メリット、利用ツール、などについて詳しく解説してきましたが、最も重要なことは、顧客生涯価値(LTV)を盲信し過ぎないことである、と言えます。
顧客生涯価値(LTV)は、内的・外的要因などの様々な要因が複雑に絡み会いながら、まるで生物のように刻々と変化しています。ほんの少しだけ商品内容を変更しただけでも影響は生じてしまうので、アンテナを常に高くしておいて空気感を感じておくことが必要になるのです。
価値(LTV)の向上がついてくる、という考え方でなければ必ず失敗すると考えられます。何のための顧客生涯価値(LTV)なのか、履き違えないことが極めて重要なのです。
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