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経営者が覚えておくべき財務の見方について

経営分析

経営者の方は、自社の財務がどのような状況になっているのか、常に把握はされているでしょうか?また、新しい事業に投資する場合、新設備を購入する時には、どのような基準で判断をされていますか?

長年の経験や感覚による判断もあると思いますが、今回は、財務の視点から判断する意思決定会計についてお話をさせて頂きます。

 

 

 

■意思決定会計をご存知でしょうか?

新しい投資を判断する時に、会計上の収益と費用にもとづく損益計算書上の利益ではなく、収入と支出に基づくキャッシュ(経済的効果)をベースに、投資案の優劣を比較する方法になります。

図で表すと下記のようになり、投資した額が、1年後、2年後・・・とどれだけのお金を

うむのかを考える方法になります。

0418004

では、次に、具体的な事例でみてみましょう。

■2つの投資案件の優劣を比較してみましょう。

もし、会社の財務上、下記のどちらかにしか投資できない場合、あなたならどちらに投資をされるでしょうか?

事例1

投資案①

投資額 500万円   

1年後に増加するお金 100万円 

2年後に増加するお金 200万円

3年後に増加するお金 300万円

投資案②

投資額 500万円   

1年後に増加するお金 200万円 

2年後に増加するお金 150万円

3年後に増加するお金 100万円

答え

この問題は、簡単に判断をすることができるのではないでしょうか。投資案①は投資額500万円に対して、600万円のお金を得ることができ、プラス100万円となります。逆に投資案②は500万円の投資に対して、450万円の利益しかえることができず、1年目は投資案①よりも得るお金が多いのですが、最終は50万円のマイナスとなってしまいます。そのために、投資案①を選ぶのが正解となります。

では、次に下記の事例はいかがでしょうか?

事例2

投資額 500万円  金利10%

投資案①

5年後に1,000万円のお金を得ることができる。

投資案②

7年後に1,050万円のお金を得ることができる。   

この事例ですと、時間軸がズレており選ぶのが難しいのではないのでしょうか?このような場合は将来もらえるお金を『現在価値』に割戻して計算をします。

現在価値とは?

投資は、一般的には長期に及ぶために、時間経過による価値の変動を考慮する必要があります。その代表的な計算方法が財務の視点から見る『現在価値』に変換して比較する方法です。

では、上記の事例2を現在価値に計算して比較をしてみましょう。

現在価値は下記の計算式で計算することができます。

現在価値=将来価値/(1+金利)

将来のキャッシュフローの発生がn年後の場合の計算式は下記になります。

今回はこの計算式にて計算をします。

0418005

投資案①

0418006

投資案①

0418007

答え

5年後に1,000万円もらえる投資案①を現在価値で計算すると620万円になります。そして、7年後に1,050万円もらえる投資案②を現在価値で計算すると538万円になります。

よって、投資案件①の方が620万円-538万円=82万円、現在価値が高いことになり、②よりも収益が高い投資案件であると判断することができます。

 

■まとめ

今回は、財務の視点から、投資の判断方法についてお話をさせて頂きました。経営者の方は、是非、目先の利益、事業内容だけで考えるのではなく、その投資により将来どれだけのキャッシュを得ることができるのかを考え投資の判断を行えるようになりましょう。

そのために、経営者の方は、財務の視点から見る『現在価値』という時間軸の考え方を身に付けましょう。考え方になれるまでに時間がかかるかもしれませんが、是非チャレンジをしてみて下さい。