【緊急】新型コロナ対策を活用した生き残り戦略について考察します

新型コロナ対策活用の生き残り戦略をイメージする画像 経営分析

新型コロナ感染症の拡大は日本経済に大きな打撃を与えつつあり、最終的にどの程度の被害が生じることになるのかはまだはっきりとはわかっていません。しかし日本は経済を中心に成り立っている国家であると言っても過言ではありません。新型コロナ感染症の拡大によって生じた経済的な問題及びその問題に対する様々な施策を検討して、今後企業はどのように新型コロナ感染症の対抗策を活用する必要があるのか解説します。

また、今回の新型コロナ感染症は大企業のみならず、と言うよりも飲食業や宿泊業などを営む中小企業により大きな打撃を与えたものと考えられます。そこで、主に中小企業が今後生き残るために必要なサバイバル術を説明します。

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1.新型コロナ感染症の拡大による経済的被害と対応策

新型コロナ感染症の拡大をうけて202047日に国から緊急事態宣言が出されることとなり、47都道府県の全ての国民に対いて、外出自粛の要請、施設の使用停止と催し物の開催停止要請、特定の施設に対する休止要、などが新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて発動されることになりました。

その後、新型コロナ感染症拡大が国民の協力の下に抑制されつつあることから、20205月21日には42都道府県の緊急事態宣言を解除しました。現在は残りの5都道府県に対する解除を検討している段階にあると言えます(2020525日を目途に専門家の意見を聞いて判断を下す予定、とのこと)。

しかし、これまでの自粛期間を通じて、日本経済には大きなマイナスの影響が及んでいます。具体的には、飲食店などは自主休業をすることにより客が来なくなってしまい日々の売上がゼロになってしまったり、予約キャンセルが続き営業を続けることが困難になってしまう旅館やホテルが続出したり、新型コロナ感染症は多くの中小企業に被害を生じさせているのです。

緊急事態宣言発動前から、休業要請と補償はセットにすべき、との声が上がっていましたが、既に様々な給付金や助成金、補助金などの支援策は次々に打ち出されてきました。それでは、新型コロナ感染症によって経営破綻したような企業にはどのような共通点があったのか確認してみましょう。

(1)新型コロナ感染症によって破綻した企業の共通点

新型コロナ感染症が拡大する前から債務超過に近いような状態で事業を継続していた企業の場合には、新型コロナ感染症の拡大でとどめを刺されたと言うこともできるかもしれませんが、今後の破綻については必ずしもそうとは言えない可能性があります。つまり、業績が好調だった企業が急に倒産してしまったり、取引先破綻の影響で自社の事業が行き詰まってしまったり、するようなケースも考えられるのです。

新型コロナ感染症の拡大によって破綻する企業には以下のような共通点があると考えられます。

①新型コロナ感染症拡大以前から業績が揮わなかった企業

既に債務超過に陥っていたり、売上低下が続いていたり、していたような企業にとっては、休業によるキャッシュ・インがなくなり、固定費(家賃や人件費など)のキャッシュ・アウトのみが続くことになり、資金繰りが耐えられなくなってしまい破綻するというケースも多かったようです。

②連鎖倒産

大口の取引先が倒産してしまい、想定していた入金が入ってこなくなり、自社の資金繰りが破綻をきたしてしまい結果的に連鎖倒産となってしまう企業は、これから本格的に増加するものと考えられます。

上記①と②に共通しているのは、資金繰りに問題が生じて会社が破綻してしまうという構図です。つまり、新型コロナ感染症対策にとって重要なことはいかに資金(キャッシュフロー)を確保するのか、という観点なのです。会計的には黒字を確保していても、キャッシュが不足して支払いができなくなれば、黒字倒産、ということが発生し得るのです。つまり、キャッシュの確保ができなかった企業が破綻している、と言えるでしょう。

しかし、前述した給付金や補助金であれば、返済の必要はありませんが、公的融資や民間の緊急融資枠などはいつかは返済しなければいけない資金です。経営者の中には、借金をすることを嫌う人々がいることは承知しています。しかし、今回のような有事には何をおいても、資金を確保することが最優先なのです。

これらの融資の中には実質的に無利子での融資を実行してくれるもの(例えば、日本政策金融公庫による「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」、など)や据置期間(融資を受けた際に元金の返済が猶予される期間のこと)を長期間設定しているものなどがあります。

平時であれば、借金は嫌だ、と言っていても何とかなるのかもしれませんが、今回破綻している企業の共通点を分析すると、緊急時に自社防衛するために必要な資金を準備できなかった点が挙げられるので、あらゆる手段を駆使してキャッシュを用意しておくことが必要となるでしょう。

新型コロナウイルス感染症に対する資金繰りに関する新型コロナウイルス感染症特別貸付とは? 概要と申請方法を解説の記事もご覧ください。

③一本足打法

新型コロナ感染症の拡大に破綻した企業のもう一つの特徴は、単独の事業にのみ売上を依存していて事業の多角化が全くできていなかった点があげられます。前述したキャッシュフローの確保にも通じるのですが、単一事業の売上だけではその事業からのキャッシュが減少してしまえば、それで資金繰りは厳しくなってしまいます。

複数の事業を運営することにより、相互補完できるような筋肉質の経営体質を構築しておくことが普段から必要かつ重要であると考えられます。中小企業の場合、単一事業に完全に寄りかかっているようなケースが多いかもしれませんが、他社の事業と提携したり、場合によってはM&Aを活用したり、して自己防衛能力を向上させておくことが大切です。

(2)破壊された顧客基盤と新たな顧客層の開拓

飲食業を例に挙げるとわかりやすいと思いますが、外出自粛の環境下では、夜遅くまで同僚や友人と飲み歩くことはできませんでしたし、休日に家族揃って外食に行くこともままならなかったと思います。そのような状況の中で、緊急事態宣言が取り消されて、ある程度外出が緩和された時に、顧客は元のように飲食店を訪れるようになるのでしょうか。

今まで自粛していた反動から、一時的には客足が戻る可能性はありますが、新型コロナ感染症そのものが消滅したわけではなく、既に客の行動様式が変化してしまっている可能性が高いため、以前と全く同じような状態に戻るのは非常に難しいと思われます。

例えば、隣の座席との間を空ける(=座席数の減少)ことや換気や消毒の徹底など、売上を以前のようにはなかなか戻せないような、飲食店として行うべきことは当面継続しなければならないでしょう。また、夜間営業が中心だった飲食店には、テレワークや時短出勤などの変容した働き方を今後も続ける企業が多ければ来店客はそう簡単には戻らないと考えられます。

このように、新型コロナ感染症は従来飲食店が確保していた顧客基盤を破壊している可能性が高いのです。しかし、その一方で、多くの飲食店では、テイクアウト・持ち帰りのサービスを始めたところも多かったようです。これは、今まで夜間にサラリーマンやOLを対象に営業していた飲食店が、新たに主婦や学生、子供なども対象に顧客層を拡大させるという効果を生み出したものと考えられます。

実際には、テイクアウトのサービスだけでは夜間営業時の売上を確保するには至らなかった、という声が多いようではありますが、夜間営業再開後も昼のテイクアウト・ランチの対応を続けることで新規顧客層への食い込みが可能になるのであれば、結果的には売上増に貢献する可能性は十分に考えられると思われます。

 

2.新型コロナ感染症の拡大による企業の主な変化

前述したように今現在はとにかく手元資金の充実を図ることが最優先であり、そのためには様々な公的融資や民間の緊急融資などあらゆる手段を駆使してキャッシュが不足してしまうことのないように最善を尽くすことが最重要と言えます。

しかし新型コロナ感染症が仮に終息した場合にすぐにコロナ以前のような経済活動ができるか、というと正直言って難しいのではないかと考えられています。なぜならば、今回の新型コロナ感染症の拡大と共に様々な現象や課題が浮かび上がってきているからです。具体的には、(1)取引関係や取引条件の見直し、(2)一気に進んだ労働スタイルの変化、(3)M&Aの急激な増加、(4)企業の淘汰、などを挙げることができます。

(1)取引関係や取引条件の見直し

今回の新型コロナ感染症の拡大を受けて、取引先の整理に動いた会社も少なくはないようです。例えば、入金までの期間(支払サイト)が長い取引先に対しては、取引先との間のパワーバランスにもよりますが、期間を短くするように要請したり、支払サイト短期化の要請に応じない取引先との取引を止めてしまったり、するような動きが見受けられました。

連鎖倒産を防ぐという意味において支払サイトを適正に設定するという、普段であれば見過ごされていたかもしれない施策を実行した会社が増えたようです。また、そもそも普段から取引社数が多過ぎて管理に苦労していた会社は、この機会に与信判断の見直しと同時に、取引先を厳選(絞り込み)した企業も多かったようです。

このように、そもそも論として普段から適正に管理していなければならない取引先ですが、新型コロナ拡大をきっかけにして、取引先と新たな関係を構築しよう、という動きが出てきたことは否めません。この動きは、新型コロナが落ち着いたとしても、時計の針を戻すように管理レベルを緩める、ということはないと考えられます(新型コロナ対策で普段以上に厳しい取引先管理をしている場合に、適正なレベルに戻す、ということは当然ながら考えられます)。

つまり、新型コロナ感染症対策をきっかけとして実施された、取引先との関係の適正化、は今後も引き続き継続されるでしょう。

(2)働き方の変化

政府が国を挙げて「働き方改革」と言っていましたが、正直さほど民間企業には広まっておらず。ましてや中小企業においては、夢のような話として捉えられていたのが、コロナ以前の状況でした。例えば、テレワークの導入に関しては、大企業であれば機器やシステムを準備して一斉にスタートすることが可能であっても、中小企業ではその予算も人員も不足していたからです。

ところが新型コロナ感染症の拡大をうけて、例えばZOOMのようなアプリケーションをPCにダウンロードすることで簡単にWeb会議を開催することが可能になるなど、一気にハード面でテレワークを推進することが(多額の費用をかけなくても)可能になってきたことは大きな進歩だと言えるでしょう。

大企業のみならず中小企業にとっても、これまで顔を合わせて行っていた会議も、パソコンの画面を通して世界中の人とミーティングをすることが可能となり、物理的な会議や出張がなくても実質的に困ることはそんなにない、ということに多くの人が気付いてしまったのです。

この点においては、世界的に人の移動が制限されてきた中で、航空会社や旅行代理店などにとっては非常に厳しい経営状態をもたらすという大きな負の効果も生じていますが、本当に必要な会議なのか出張なのか、ということを日々検討することで無駄なコストの削減につながっていると考えられます。

新型コロナ終息後であっても、このような働き方の変革に関しては、より推進されることはあっても後戻りするような動きは考えにくいでしょう。「仕事は会社でするもの」という、それまでは当たり前だった常識が大きく崩れることになったことは、これからの働き方をあらためて考えさせることになるでしょう。

(3)M&Aの急激な増加

中小企業基盤整備機構が4月末に中小企業約2,000社に実施した「新型コロナウイルス感染症の中小・小規模企業影響調査」では、100社を超える中小企業が「事業自体の休廃業」や「事業自体の譲渡」を考えていることがわかりました。

今回の新型コロナ感染症の拡大は、疲弊した中小企業の事業主に自主廃業や事業譲渡を決意させる引き金を引いてしまったような感じがします。実際に、日本政府も新型コロナ感染症に対する緊急経済対策を取り纏めた2020年度の補正予算の中に、総額100億円にものぼる事業承継支援策を盛り込んでいます。

また、第3者が承継する際の経費を負担する新しい補助金制度や官民が共に出資する全国ファンドの創設などを推し進めて、MAを十分に活用して経営資源の新たな承継を後押しする予定となっています。

つまり、新型コロナ感染症の拡大は、事業の廃業や譲渡を推進するとともに、承継方法としてM&Aを活用しようと考える人々が増加したと言えるのです。この動きについても、新型コロナの終息と共にM&Aが廃れるということは考えにくく、ある種の標準的な事業承継手法としてM&Aが位置付けられていくものと思われます。

(4)企業の淘汰

様々な生き残り策を実行してきたとしても、最終的には力尽きて淘汰されてしまう可能性はあります。資本主義社会で勝負をしている以上、敗残者の行き着く先は企業の破綻となります。大切なことは傷の浅いうちに会社を手仕舞うという判断ができるかどうかです。多くの取引先に迷惑をかけて、連鎖倒産先を大量に発生させるような経営者は最低です。

重要なことは、事業を継続することができるのか、それとももう無理なのか、の判断をすることです。人間は得てして希望的観測に傾きがちではありますが、例えば取引金融機関や経営コンサルタントなどの外部の人間は客観的に現在の状況をどう判断しているのか、常に冷静に聞く力が必要です。

仮に会社を破綻させてしまったとしても、それで何もかも御終いということではありません。いったん今は退場するだけで、再びあらたに市場に再参入するようなことがあるかもしれません。したがって、前述したように、多くの人に迷惑をかけたまま退場したような人の場合には、再登板する機会がそうそう簡単にはないでしょう。

しかしながら、余力を残して、周囲にも極力迷惑をかけないように奔走したうえで、結果的に会社を破綻させてしまったようなケースでは、再浮上するチャンスは意外と早くめぐってくるかもしれません。

これまでは淘汰されてしまった会社の立場から見てきましたが、いくつかの企業が淘汰されてしまった業界に残った企業はどうでしょうか。重要なことは、競合他社はなぜ破綻してしまったのか、きちんとその理由を分析しておくことは重要です。たまたま破綻してしまうことはあまり考えにくいですが、偶然生き残ってしまう、ということはあり得ます。今回のコロナ感染症の拡大のような予想外の事態が生じても耐えうるように、他社の失敗例を学ぶ姿勢はとても大切です。

新型コロナ対応の雇用調整助成金の活用法補をまとめた新型コロナ対応の雇用調整助成金とは? 活用方法を解説します記事もご覧ください。

3.After/Withコロナの未来と変化

新型コロナ感染症の拡大は個人や企業、そして社会に大きな影響を与えています。例えば、インバウンドの消滅や営業自粛要請などにより、宿泊業や飲食業では9割以上も売上が減少しているような企業がある一方で、採用者を大幅に増やしたEC企業などこのコロナ禍を追い風にしているようなケースもあります。

今後この新型コロナ感染症に関する影響は、短期的に、あるいは中長期的に世の中をどのように変えていくのでしょうか。大企業のみならず、中小企業からの視点も意識しながら解説します。

After/Withコロナで生じ得る変化とは?>

短期(~6か月)

中期(6ヶ月~3年)

長期(3年~)

個人

新型コロナ感染症の感染防止のために外出を控える、三密(密閉、密集、密接)の回避

孤独を感じる人の増加、新しい娯楽を追求

③多様化する働き方

②運動不足による健康志向の高まり

④人口過密地域のリスク増大 → 地方移住の加速

企業

テレワーク(在宅勤務)の推奨、新規投資の抑制

⑤ビジネスのオンライン化

⑥感染リスクが少ないサプライ・チェーン構築(地産地消やグローバル分散など)

社会

新型コロナ感染症治療のためのリソース投入

⑦教育・医療のオンライン化促進

⑧治安に対する危惧増大、新たなセキュリティ体制

⑨不景気・新たな経済秩序や経済安定性の構築

(1)個人

<短期>

短期的に個人レベルで短期的に生じた影響としては、外出を自粛して三密を回避することが挙げられます。外出を控えることで、新型コロナからの感染を避けることができる反面、経済活動は大きく低下することになりました。

<中期>

①孤独を感じる人の増加、新しい娯楽を追求

人との接点が減ることから孤独感が増大して、鬱病の発生や自殺者の増加を危惧する声があります(自殺者に関しては、既に世界で80万人にものぼる自殺者がさらに増大する可能性がある、とWHOは予想しています)。

また、重症化しやすい高齢者や休校による影響を受ける若年層などに対しても、精神的なケアが必要でしょう。そういった意味では、メンタル・ケアやヒューマン・コミニュケーションの分野は今後成長が見込めると考えられます。

様々な制約条件の中でも人間は何かしらの楽しみを生活において発見・発明するものです。コロナ禍の中でも「ZOOM飲み」のようにオンラインで繋がった仲間同士で自宅においてお酒を酌み交わしあう、という新たなスタイルが徐々に市民権を得てきています。

他にもオンライン対戦型のゲーム参加者が一気に増加するなど、物理的な「場」を必要としない新しい娯楽を楽しむ人々が増加しており、それが当たり前の世界への変化していくものと予想されています。

②運動不足による健康志向の高まり

新型コロナ感染症の拡大をうけて、外出自粛や営業自粛を要請されて、トレーニング・ジムやスポーツ・ジムは軒並み休業を余儀なくされることになりました。個人でジョギングをする、といった行為自体は、感染防止対策をきちんとするという条件を守っていれば、問題はないとされてはいましたが、それでも体を動かす機会は大きく減った人は多いものと考えられます。

運動不足に陥ってしまい健康状態が不安になっている人も多い中で、例えば、自宅でオンラインを通じてアドバイスを受けながら運動をしたり、ゲーム感覚で運動ができたり、するようなサービス(Eスポーツ、スマート・スポーツ、などと呼ばれています)を利用する人が増えていくでしょう。

上記のような新たなスポーツ・サービスには、体の健康状態(心拍数、血圧、心電、など)も同時に把握できる機能を備えているアプリケーションを利用しているものもあるので、オンラインで運動をしながら健康状態をチェックすることもできます。

<長期>

③多様化する働き方

不景気による失業者の増加とテレワーク(在宅勤務)の増加により、新しい働き方が誕生する可能性が高いと考えられます。例えば、新型コロナ感染症の再発リスクに備えるために、業務委託などの外部人材の活用が増加することは十分に考えられます。

この点においては、大企業のみならず中小企業においても、必要な時に必要なだけ、という雇用に対する考え方が一般的になると考えられるので、専門的なスキルを磨いておいて、必要な人材でいるための努力が求められることになるでしょう。

また、結果に対する評価、というものが客観的かつ基本的に実施されるようになるでしょう。情実的な評価をしている余裕があるような会社はどんどん淘汰されていくことが考えられますので、雇用形態や性別、勤務年数などとは関係なく、成果に対して報酬が支払われる体系が当然の人事評価体制になっていくでしょう。

④人口過密地域のリスク増大 → 地方移住の加速

テレワークの加速により都市部に住居を構える必要性が薄れる可能性が考えられます。都心の通勤列車の過密具合を考えれば、地方への移住が加速する可能性が高まるでしょう。また、不景気の中では少しでも生活コストを下げる必要があるので、物価が安く、生活しやすい地方が住居の選択肢として浮かび上がってくるでしょう。

都市部での仕事と同様に、教育面においてもWeb授業などが整備されてくれば、高い家賃を払って学校近くの都市部に住む必要はなくなります。つまり、地方であればどこでもOKというわけではなく、病院や交通などのインフラと同時にインターネットなどの通信環境が整備されていて、行政からの支援も十分に期待できるような地方都市であれば、都市部からの移住者を受け入れる体制が整っていると判断されるでしょう。

そういう意味においても、都市部からの移住者を囲い込むような、地方都市による招致競争が起きる可能性は否定できないものと考えます。

(2)企業

<短期>

既に多くの企業でテレワーク(在宅勤務)が導入されており、運用面も含めて日々改善されています。また、経済的に厳しい環境の中では、新たな投資を抑制している企業も増加しています。中小企業のみならず、大企業であってもコロナ感染症による売上高激減をうけて破綻するような事態が発生しています。

<中期>

⑤ビジネスのオンライン化

これまでオフラインで行われいた事業のオンラン化が一挙に推進され始めています。例えば、商談会などのイベントもオンライン化することで、コストを抑制しながら開催できることがわかってきており、今後はいかに効率よくビジネスを進めることが可能か、という観点でオンライン化が加速するものと考えられます。

また通信インフラの充実とともに、(Augmented Reality)やVRVirtual Reality)技術の更なる進展も見込めるでしょう。ただし、個人情報保護などのセキュリティ面での水準を向上させることも当然に必要となってくるので、サイバー対策などの分野は一層の成長が見込める分野になるでしょう。

⑥感染リスクが少ないサプライ・チェーン構築(地産地消やグローバル分散など)

今回の新型コロナ感染症の拡大で発生した大きな問題のひとつは製品供給網の崩壊でした。具体的には、マスクや消毒液、ティッシュなどが店頭から消えてしまい、いつ入荷するのかもわからないという状態が発生してしまいました。これは国際的なサプライ・チェーン体制の中で重要な地位を占めている中国での生産・輸出がストップしてしまったことと、デマや噂に踊らされて不必要な量までも確保しようとする人間心理によるものでした。

後者の心理的な問題は、マスコミなどが連日ティッシュの在庫は十分にあります、と報じたことで徐々に収まっていきましたが、マスクや消毒液については、いつまで経っても不足状態が解消できない日々が続いていました(現在はだいぶ落ち着いているようですが)。

しかし、崩壊してしまったサプライ・チェーンはあらためて再構築する必要があります。その際には、今回の反省をうけて、「地産地消」と「グローバル分散」の観点から再構築する必要があると考えます。「地産地消」とは、現地で生産したものは現地で消費する、という主に農作物などに使われる言葉ですが、今回のように生活に不可欠な製品(マスクなど)は国内で生産して国内で販売する、ということが必要になると思われます。

また、コスト面を考えると海外に生産拠点を移すことも必要なのかもしれませんが、今回のようにパンデミックが発生してしまうとひとつの海外拠点に生産を依存してしまうリスクの顕在化を回避するために、複数の海外拠点に生産を分散化することも必要となるでしょう。中小企業の場合には他社と共同して生産拠点の分散化に挑むことが考えられます。

(3)社会

短期的には、新型コロナ感染症の治療薬に対する資金的・人的な投資が現在も集中的に続けられています。

<中期>

⑦教育・医療のオンライン化促進

企業の中期的な変化でも説明しましたが、生活の中にオンライン化されたサービスが導入することが飛躍的に増加するものと考えられます。現在も進められていますが、病院に出かけずに自宅にいながら診察を受けることが可能になったり、学校に行かなくても授業をうけることができるようになったり、オンライン化されるサービスが増加して、しかも生活に根付くようになることが予想されます。

⑧治安に対する危惧増大、新たなセキュリティ体制

外出自粛要請の中で家庭内暴力が増加していることが考えられます。また、日本に住んでいるとよくわからないかもしれませんが、海外での厳しい外出禁止令の下では、人種差別や略奪などの行為が実際に発生しています。このように新型コロナ感染症の拡大は治安状態を不安にさせてしまう可能性が極めて高いのです。

このようなリスクに対して国や自治体が国民に対する監視機能を高める可能性があります。個人プライバシー保護との兼ね合いも重要ですが、デジタル化の進展とともに、セキュリティ・レベルも同様に向上することが重要だと考えます。

<短期~長期>

⑨不景気・新たな経済秩序や経済安定性の構築

新型コロナ感染症の拡大は、間違いなく不景気をもたらすことになるでしょう。企業活動の低下や働けない人々の増加、などは長期間にわたって我々の生活を苦しめる可能性があります。特に大きな問題になると思われるのが、コロナ被害の大きかった人や会社とそうでもなかった人や企業との格差です。

確かに従前からの準備が奏功してさほど影響を受けなかった人々は備えがきちんと出来ていたということで褒められこそすれ、他人にやっかまれる筋合いはありません。しかし、今後効率的で安定した経済システムを構築することは1企業だけで果たすことはできません。大企業も中小企業も、力を合わせて協調して発展する社会を構築する努力をすることが求められるのです。

 

<まとめ>

新型コロナ感染症の拡大による影響と、今後の個人・企業・社会の変化についてまとめましたが、現時点(20205月中旬)ではまだ完全に新型コロナが終息したわけではありません。しかし、あらかじめ予想される変化に対してどのような対応策をとるべきか考えておくことはけして無駄なことではないでしょう。

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