従業員を社会保険に加入させる義務と会社が負担する金額について

社会保険

従業員に加入させる義務がある社会保険には健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の4つがあります。

従業員を雇用することによって発生するコストには第一に賃金(お給料)がありますが、一定の条件を満たすときには賃金に加えてこれらの社会保険料も負担する必要がありますので、人件費について考えるときには社会保険の金額まで考慮する必要があります。

ここでは会社が負担しなくてはならない社会保険の金額について解説させていただきますので、将来的に従業員の雇用を検討している経営者の方は参考にしてみてくださいね。

会社が負担する社会保険料の金額はどう決まる?

一定の条件満たす従業員を雇用する場合、会社はその従業員に社会保険に加入させる義務があります。

従業員が社会保険に加入する場合、支払う社会保険料の一部を会社が負担しなくてはなりません。

以下、それぞれの社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険)の保険料の計算方法を順番に解説します。

 

健康保険と厚生年金の金額計算

健康保険と厚生年金は一括で保険料を計算するのが一般的です。

健康保険、厚生年金の保険料は「標準月額報酬×保険料率」で計算し、そのうちの半分(2分の1)が会社負担となります。

▲標準報酬月額とは

健康保険と厚生年金の保険料を計算するときの標準報酬月額とは、簡単にいうと従業員に対して4月〜6月の3ヶ月で支払ったお給料の平均額を、計算がしやすいように等級に分けた金額のことをいいます。

例えば、ある従業員の4月の給与額が20万5千円、5月は21万円、6月が24万円だったとします。

この場合、3ヶ月間の平均だと(20万5千円+21万円+24万円)÷3ヶ月=21万8333円となりますので、標準報酬月額の等級表に当てはめると22万円(健康保険は18等級、厚生年金は15等級)ということになります。

▲保険料率の計算と経費処理

健康保険、厚生年金の保険料は、ほぼ毎年改訂されています。

平成29年4月からの健康保険料率は9.91%(介護保険に加入している人の場合は11.56%)、厚生年金保険料率は18.182%です(東京都の場合)

上記の例で標準報酬月額が22万円だったとすると、健康保険料と厚生年金保険料の金額は以下のようになります(40歳未満で介護保険には加入していないとします)

健康保険料  :22万円×9.91%=2万1802円(このうち会社負担は1万901円)

厚生年金保険料:22万円×18.182%=4万円(このうち会社負担は2万円)

健康保険料、厚生年金保険料共に会社負担分については法定福利費などの勘定科目で経費処理することができます。

従業員が負担するべき分は毎月のお給料から天引きして会社が納めるのが一般的です。

 

雇用保険と労災保険の金額計算

雇用保険、労災保険の2つは「労働保険」として毎年1回保険料を計算して申告しなくてはなりません。

計算方法はいずれも「1年間に支払った賃金総額×保険料率」で計算します。

なお、保険料は全従業員の賃金合計額から合算で計算し、1枚の申告書に記載して申告、納付するのが一般的です(労働保険の申告手続きのことを「年度更新」とよびます)

▲雇用保険

雇用保険の保険料率は平成30年3月までは0.9%です(建設業者は1.2%、農林水産業者は1.1%)

例えば年間の300万円の賃金を10人の人に対して支払っている場合、300万円×10人×0.9%=27万円の雇用保険料を支払う必要があります。

▲労災保険

労災保険についても雇用保険料と同様に「賃金支払総額×労災保険料率」で計算します。

労災保険の保険料率は事業の内容によって異なり、例えば食料品製造業の場合は0.6%、交通運輸事業だと0.45%となっています。

年間300万円の賃金を10人の人に対して支払っている食料品製造業者の場合、300万円×10人×0.6%=18万円の労災保険料を支払う必要があります。

 

社会保険に加入させるメリットとデメリット

社会保険の加入義務については本文で解説させていただいた通りですが、加入させるか否かについて選択の余地がある場合(つまりあなたが個人事業主である場合です。法人事業者の場合はすべての正社員に社会保険に加入させる義務があります)には加入のメリットとデメリットについて検討した上で判断する必要があります。

社会保険への加入は従業員に安心して仕事に専念してもらうために大切なものですが、一方で固定的な支出である人件費の増大というデメリットもあるためです。

従業員を社会保険に加入させた場合、大まかに考えて人件費は賃金総額の約15%になります。

新たに従業員を雇うときには賃金に加えて社会保険料が追加のコストとして増えることも理解しておきましょう。

社会保険料の削減については、「会社が負担する社会保険料を削減するにはどうしたらいい?」の記事でも詳細に解説しています。

まとめ

以上、従業員を雇用するときに加入が必要になる社会保険について、加入義務と社会保険料の計算方法にいて解説させてたいただきました。

社会保険は従業員に安心して仕事をしてもらうために大切なものですが、人件費コストの増加というデメリットがあるということも理解しておく必要があります。

社会保険への加入を考える際には、必要であれば税理士などの専門家に相談した上で慎重に判断するようにしましょう。

社会保険についてもっと詳しく知りたい方は、「会社で加入する社会保険ってどんなもの?加入条件や保険料の計算方法を解説!」の記事も参考になります。